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9月, 2023の投稿を表示しています

MacBook Air and ifi xDSD Gryphon

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 入院して聴く装置を自宅メインオーディオに繋いで聴いてみた。iMac + iFi Pro iDSD Signatureとどちらがいいのか。今の精神状態でなければもちろん後者に軍配が上がるだろうけれど、これでいいのだって言わせるクオリティがある。抗がん剤で気を失ってもこれほどのクオリティなら天にも昇る境地かも。

Recovering from the depths of despair.

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親友がブログ再開と思ったら、瀕死の重症だったとは。彼は6月にも危ない目にあってるし。 しっかりリハビリしてもらってまた彼の自宅でオーディオその他でやりたい放題やって欲しい。それこそがこちらのエネルギー源でもあるし。 がん宣告されてから一ヶ月。そうか。がん。そうなんだ。っていう頼りない自覚のまま時間だけが過ぎています。この期間内で国立がん研究センター中央病院の患者に食い込めただけラッキーだと思います。 さて、自宅ではiFi audio社の高額DACと小さいけれど優れもののDACを交互に聴いて、比較してその違いを聴こうと画策中です。 どうにも避けられない闇の淵が迫り来る。でも、ほかにどうしようもないですものね。体当たりするしか。

Life-prolonging treatment or palliative care?

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 食道がんになったからといってすぐに死ぬわけではないのですが。 末期になったとしたら。ここに選択肢があります。抗がん剤に必死に頼って延命(といってもせいぜい二ヶ月だそう)を希望し苦痛の中でこときれるか。QOLを尊重し、苦しむことを避けつつ生産的活動に勤しむことができるか。 耐えられない苦痛はまったく耐える自信がないので、そのときは医療用モルヒネの使用をお願いします。って言うつもりです。あとは良質な芸術鑑賞(音楽だけでなく書物も絵画なども)に長くはなくてもああここまで生きて来れてよかった。という充足感を得られそうなタイミングで事切れればいい。 結論はこれに尽きるんです。

Released on the 250th anniversary of Beethoven's birth. Piano Concertos 0 - 7

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 アマゾンからベートーヴェンのピアノ協奏曲全集がとどきました。 内容はベートーヴェン生誕250年の記念として制作され、通常の第1番から第5番のほか、第0番変ホ長調(原曲はピアノパートだけが伝えられておりヘルマン・デヒャントによる新たなオーケストレーションを採用)、第6番ニ長調(1814年から1815年作曲の協奏曲断章、ニコラス・クックによる補筆完成版)、第7番ニ長調(原曲:ヴァイオリン協奏曲)さらに第2番変ロ長調の第3楽章の初稿フィナーレ(ロンド 変ロ長調)が加わっています。 第7番はヴァイオリン協奏曲のピアノ版で楽器が異なるだけでもことごとく印象は違うように思います。 ピアノはミヒャエル・コルスティック(ドイツのピアニスト)、オーケストラはウィーン交響楽団で文句なし。録音:2020年〜2021年

Hans Knappertsbusch war ein deutscher Dirigent.

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 音楽評論家の宇野功芳さんのおかげで日本で有名になったウィーンフィルの名指揮者 クナッパーツブッシュ。ワーグナー、ブルックナーの演奏に造詣が深く戦後はモノーラルがおおいですが、若干Deccaがステレオ録音を残しています。この人は一癖も二癖もあったと記録にあるんです。でも楽団員からは信頼に満ち敬愛されている指揮者だそうです。練習嫌いも相当なものだったそうで、リハーサルでなんなく演奏できても本番で間違うと「練習なんかするからこんなことになるんだ」と言った。「こんなつまらんことをしないで、みんなで飯食いに行こう!」って言うこともあった。多分本当なんだろうと思います。 私も学生時代にクナッパーツブッシュ指揮のブルックナー交響曲第8番の渋い演奏をステレオだったけれどLPで聴いてなんとも言えぬオーラを感じたもんでした。ブラームスも超スローテンポで指揮してる録音もありますね。で、久々にタワレコのホームページで見つけました。クナッパーツブッシュが晩年デッカにステレオ録音したブラームスの作品集。オリジナルテープから24/96kHzでリマスターしたものからのCDです。これもLPで聴いていた作品集ですが、なんといっても大学祝典序曲が鮮明な記憶を残しています。当時この曲で持っていた演奏、ワルター・コロンビアやセル・クリーヴランドの演奏は10分もかからないものですが、クナさんは11分もかかってる。そう、遅いんです。テンポが。出だしから遅いんですが、普通テンポを早めていくところでも、そのまんまというか聴こえ方としてはさらにテンポを落とす。こんなテンポで指揮者についていったウィーンフィルもまたすごいんですが。止まりそうで止まらない緊張感とど迫力で最後までど・ど・ど・どって怒涛のフィナーレに突っ込みます。書いてるだけで鳥肌が立ちます。 平凡な演奏に飽き飽きされた方で、大学祝典序曲お嫌いでなければ、聴いておいて損はないって思うんですよね。

Beethoven Piano Concerto No.2

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 ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中でまったく印象がないのは第2番です(失礼)。ベートーヴェン16歳に作曲スタートで第一番より若い頃の作品のようです。ですので2番て欠番だった?って思うくらいの薄い存在でした。ご本人も納得してなかったようで、28歳になって最終稿にまとまったとか。でも、バックハウス、ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮ウィーンフィルの全集に第2番(最終稿)があるので、個人的に「新発見」っていうことで聴いてみました。 第一楽章、これモーツァルト?っていうくらい貴族的でベートーヴェンくささが希薄。何をしたいんだ、ベートーヴェン!的なもどかしさ。なので、途中で聴くのをやめ、第2番は聴かなくていいと決めた過去を思い出しました。でも、途中でやめてはベートーヴェンさんに失礼。あらためて第二楽章をスタートに第三楽章までを聴いて、これは最初を飛ばして第二楽章から聴くべき曲だと納得した次第です。 自宅にはギレリス、セル・クリーヴランドの同曲もあり第二、第三を聴き比べ。やはりこの2つの楽章を聴いて思うのは間違いなくベートーヴェンであるということ。最初をすっ飛ばして聴く方法はおすすめです。 ピアノ協奏曲第2番を調べているなかでピアノ協奏曲第0番や第6番、第7番もあり?っていうCDを見つけました。この全集にはピアノ協奏曲第二番の第二楽章(初稿)も収録されており、急に興味が湧いてきました。タワレコでポチっとしたばかりです。

Die Musik, die ich mit meinem besten Freund hören möchte.

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 親友も私もお互いのオーディオシステムでブラームスはいつもよく聴いていた。親友と聴きたいブラームスを昨晩柚香さんと一緒にFOSTEXシステムでしみじみ聴いた。 1. Klavierkonzert Nr.1 : Böhm , Pollini Wiener Philharmoniker (1979年録音) 2. Violinkonzert : Jochum , Nathan Milstein Wiener Philharmoniker (1979年録音) 3. Academic Festival Overture : George Szell, The Cleveland Orchestra (1966年録音) 4. Variations on a Theme by Haydn : Kurt Sanderling, Staatskapelle Dresden (1972年録音) 交響曲は入ってないけれど、けっこういいコンサートプログラム風になった。 彼のブログが止まったまま。どうしているだろうか。

Iodinated contrast agent used in the CT.

 CT検査で使われるヨード造影剤。昨日(2023年9月19日)のCT検査では右腕に刺さった針の先に造影剤の入った注射器を右手に持たされてCTの検査台に乗るという経験をした。看護師さんが明るい声で知らせてくる。「はい、造影剤入りまーす。大丈夫ですかー!」咄嗟に「大丈夫でーす。」と、おうむ返し以外の返事が全く思い浮かばないのは彼らへの忖度だろうか。がん研病院のCTはむかし勤務したC社のものだった。依願退職して33年後にここでこの会社のロゴの入った医療機器にお世話になる。人間万事塞翁が馬。高校で習った漢文がどういうわけか思い出される。あ、臥薪嘗胆も。いま、ここで、それ? 造影剤は自分ではっきりと体内に広がっていく様子がわかる。カーッとのぼせるような熱さを感じ、異物が入ってきたってわかる。終わったら早く排出したい。 撮影後、「はい、おわりましたー。」「起きていいですよー。」看護師さんたちの明るい明快な声にいかに何度も救われる思いをしていることか。ありがたい。

Cancer impacts your mind in many ways.

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 この春、新しく更新したデジカメ。最新機種ではないけれど、真新しい機材には心躍るものがある。はずだった。しかし、がんと判明してからカメラを持ち歩いて撮影したい気持ちがかなり薄れている。何を見ても他人事っていうか。自分の心に躍動感をもたらさないというか。一緒にわくわくできなくなったというか。最近掲載している写真はすべてiPhone11であるが、結構いい。ちょっと辛いね。 悲観的なことは考えないが、ワインをいつくしめない環境や、漠然と感じる自分に残された時間など、ボディブローのようにのしかかってくる。それに対して平然な顔を作ってどう渡り合うか。がん専門病院で感じたのは皆押し黙っているが時間との戦いの真っ最中であることだけは見えてくる。

My audio system in the hospital.

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 今日までに入院時音楽鑑賞システムの完成。思ったよりコンパクトにできた。これでDSDからMQAまでハイレゾを堪能できる。ソフトのaudirvana studio も更新が切れていたのに気がつき、更新を完了できた。DACはiFi audioのxDSD Gryphonで、ハイレゾDACにプリアンプ、メインアンプを搭載。バッテリー駆動も可能。バランス伝送のイヤホン・ヘッドホン対応で通常のXLRライン出力も可能。バッテリー駆動ではノイズを低レベルに抑え、オーディオシステムで即戦力として使えるタイプ。イヤホンはSENNHEISERにしてよかった。SONYのノイズキャンセル付きコードレスタイプは素直な音でいいのだが、私が天邪鬼なもので。 あとは自分の体力。抗がん剤治療から手術、そして術後のリハビリ。自分の体力と精神力が一番頼りない。問題はそこに尽きる。

J'ai besoin de musique même à l'hôpital.

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 入院中はMacbook air を持ち込めるか。その前提で音楽を聴く方法を考えた。できるならクオリティは下げたくない。けれど、それほど大金はつぎ込みたくもない。 なので。 SSD(1TB)に音楽データ(ハイレゾ含む)をコピー。 MacBook Airに音楽再生アプリインストール。 MacBook AirにはUSB端子が2つしかないのでHUBを購入。 iFi audio xDSD Gryphon をDACに使用。これがかなめ。 さて最後はイヤホン。できればバランス4.4mm にしたいけれど、午後に家電量販店で現物をいろいろ見て購入したい。バランス4.4mmプラグ対応は高価なのでSENNHEISERで。 抗がん剤はがんを小さくするけれど、生身の体も蝕む。がんといのちは表裏一体だから死なない程度に辛い思いをしないといけない。そうなると音楽に必死にすがることにならざるを得ない状況もありうるかも。

Happiness in eating lunch.

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 PET-CT検査は前日の夕食後に摂取できるのは水のみ。朝も抜いて、検査終了が午後1時を過ぎていた。会計を終えて三田病院の11階にあるレストランで柚香さんとランチ。大きな窓から東京タワーとかなり遠くに東京スカイツリーが見える。このレストランは入院患者の方に専用の食事があり点滴と一緒とかパジャマ姿、車椅子の患者さんたちにも好評のようだ。 柚香さんはミックスフライ、私はハンバーグトマトソースをいただいた。ただ普通に自宅外で食べるだけなのに妙に静かな幸せを感じる。待ち受ける闘病生活を考えたくないという気持ちもある。突然襲ってくる病もこわいけれど、がんという宣告。これは苦しむ時間を伴わざるを得ないところが辛い。瞬間で人生の終末を迎えるほうが幸せかもしれない。

PET-CT

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 ぶどう糖類似体に放射性同位元素を標識したF-FDG薬剤を静脈注射。その後PET-CTで撮影し画像診断。薬剤は約9.0mSvの被曝あり。検査後は患者自身が放射線線源となり、検査終了後12時間は他人への密接な接触は禁止。 PET-CTを行ったからといって、ものにより見つけにくいものもある。1cm以下のものは発見されない場合もある。検査で得られた画像等は学術研究用に利用することもありうる。 ここまできて、もう逃げるわけにもいくまい。もう、早くやっちゃって。お願い。

We have worked out the way we go.

 セカンドオピニオンは受けておいたほうがいい。そう、でも。どうする、自分? がんの当事者としてどう治療を自分の中に落とし込み、方法を決めるか。 主治医の先生と信頼関係が最も大切だとつくづく思う。 初診は9月19日に決定。この日からがん治療がはじまる。

Document written by Mr. Shin-ichiro Kaneda, Journalist.

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 同じ境遇にならないと読んでも自分ごととしてストンと腑に落ちてこないことがある。ジャーナリストが自分のがんについて日記として語り尽くしたこのドキュメントは、その表紙と裏表紙をみてまさに「ガーン」だった。病院から逃亡って。あの東大病院から? 食道がんはたいてい酒に強くない体質(私もそうだが)の人間が酒やたばこ(葉巻も含む?)にさんざん痛めつけられてる場合が多い。中間管理職は不幸だ。上司は理想を現実にすべく課長等の中間管理職に禅問答のような難問を丸投げし、部下は課長の指示が悪いせいで全体の成績があがらないと不満をぶちまける。部下と上司はそれぞれ直接語りあうことはない。仕事のストレスはどんどん溜まる。まして会社が事件を起こしその対応も課長クラスが主要な決断をしなくてはならない状況となればストレスマックス状態。そのストレス解消もほぼ酒しかなかったからこうなったと納得がいく。 がんは細胞と遺伝子の病気とひとことでいうとそうなるそうだけど、がん細胞が出来始めたときには体から何の異常を感じることはない。かなり進行して痛みなり不具合がでて調べたらそうだったっていうことが一般的。私もそうだった。声が出しにくいことから始まっていつのまにか胸の痛みへ変化。最初に総合病院に行って良かったと思ったことは、受付の相談係の方が親身に話を聞いてくれて、では、循環器内科を受診しましょうか、念のため消化器内科も受診しておきましょうかね。って言ってくれたおかげでがんに出会う道筋が最短で済んだと思っている。のどの不調で耳鼻咽喉科を入口にしていたらこれほど短い期間で食道がんにたどりつけたかどうか。 あとは、切られるのか、被爆するのか。毒を飲まされるのか。決断が迫っている。どのみち数十年単位のスパーンでみれば致死率100%の世界である。がんとの共存か対決か。戦争はいやだ。(笑) 病院の待合室でおそらく全部読み切れるだろう。たのしみは多いほうがすてきだ。

Cancer: challenging the mysteries of life and death.

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 実はこの本には前提条件がある。NHKスペシャル「がん 生と死の謎に挑む」の番組を見た人向けであること。柚香さんと一緒に再放送されたこの番組を見て、自分にはこの本をじっくり読む権利がある。そう思った。 立花隆氏は尽きることない探究心により興味を持ったことはとことん調べ尽くしなにがどうしてどうなったまで書き尽くす。対象は最先端科学や宇宙から自分が患った心臓、成人病さらに自らの膀胱癌にまでおよび、患者としてではなくジャーナリストの目線で、徹底的にがんとはなんぞやを詳らかにしようという姿勢に敬意を表するしかないと思う。 これから自虐的に小説を読み進めるようなスタンスでいます。まだまだ参考になる書物はありますが、参考です。自分のがんは自分のDNAに裏打ちされたオーダーメイドなので他人の例は多少参考とするくらいなんでしょうけど、無いよりは若干落ち着くと思えるので。

Haydn's London Symphonies

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ドイツ室内管弦楽団ブレーメンによるハイドンのロンドン時代にあたる最後期交響曲。 所謂ザーロモン・セット(交響曲第93番から第104番)は大好きは曲ばかりですが、特に最後の100番から104番までの5曲は私には珠玉の作品です。 地味な103番は「太鼓連打」とあだ名がついているとおり、第一楽章の冒頭ティンパニの連打で始まり、仄暗い出だしからは想像もできない美しい主題が出てくるともうお花畑にいるような気分になり胸の痛みを忘れます。 中学時代、親に買ってもらったFM/AMラジオにしがみついてNHK交響楽団の演奏を聴いていたのはこの曲が最初の頃だったと思い出しました。幼い頃を頻繁に思い出すのはもう先が少ない証拠なんでしょうけど、まだ新しい思い出は生み出して記憶していかないといけませんね。

Let your mind alone.

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 自分を放っておきなさい。いまの自分の心境ではなく、2017年のMabumi Yamaguchiが発売したCDのタイトル。明るいようで淡々としたジャズ。サックスのほかにギター、ピアノ、ベースそしてドラムスが入るのでけっこう豪華な雰囲気だ。 でも、それぞれが秋の風のようにさらさらと淡白なスタイルでいい。ソプラノサックスは聴きようによっては悲しげなオーボエのように聴こえる部分が特にいい。

Lontano: Away or Distant

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 クラシックの音楽用語はイタリア語が基本。ロマン派はドイツ語で書いたりもしてますが。ロンターノは「遠くからこだまのようにかすかに聴こえる」さまをいいます。英語のAwayやDistantでは言い表せないニュアンスを含んでいます。アニヤ・レヒナー(チェロ)とフランソワ・クテュリエ(ピアノ)のこのオリジナルを含むアルバムはこのロンターノが無意識に見えてきます。聴こえるというより見えてくる。これはECMの録音技法もあいまってぴったりはまっているので見えてきます。 これからの自分もこういう冷静さを常に持ち続けたい。相当に辛いことが待ちうけていることだけは覚悟しているけれど。

Esophageal cancer refuses alcohol.

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 食道癌にお酒なんてダメです。これはあたりまえ。 でもね、お酒でノンアルコールがあれば気が紛れる。 そこで調べてみた。ノンアルコールビールには麦芽以外の原料を中心に香料やカラメル色素などを加えて形だけビール風にしたものと、麦芽とホップを原料にアルコールを抜いたもの。 どう考えても後者のほうが美味しいし、カラダにいい。癌患者がいうことではないけれど。 ドイツ製の数種類とサッポロビール製のプレミアム。そしてこのキリンの製品が後者の分類。 まずキリンで寂しい心を癒します。

Bartok Piano Works for Children

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 バルトークほど晩年に悲惨な生活を強いられた作曲家も稀だと思います。 作曲家としてだけでなく教育の面でも才能を発揮したバルトーク。子供のためにっていう作品集は2つあり、最初がハンガリーの民謡をもとに平易で親しみやすい曲集で、2番目がスロバキアの民謡をもとにしたもの。この2つをデジュー・ラーンキが演奏しているCDを昨日聴いていました。人間は画一的描かれ方でひとくくりにされることが多いですが、だれでも多面的な活動をしているものでその活動が複雑に他人と関わり合って相乗効果を発揮したり、断崖絶壁に立たされたり、時間の経過で双方逆に歩んだりしますが、それが自然ってものなんでしょう。まだ憎まれている限り、世に憚ることができる。そういう勝手な解釈こそが癌に立ち向かう根拠のない信念です。

ONKYO M-509

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 1980年発売200W+200Wのオンキョーが誇るパワーアンプ。marantz Sm-9を購入した時に本当はこれが欲しかった。お金の都合でmarantzになった。Sm-9も期待した以上にいい雰囲気だったけれど。ニューヨーク赴任のちょっと前にやっと手に入れた。やはり濃厚かつ滑らかで、他社アンプとは根本的に音の傾向が違う。31kgと重量もあり、漆黒の筺体に大型のメーターが高級感ばっちり。電源を入れて動作が安定するまで一瞬メーター周りがBMWの運転席のイルミネーションのように赤く光るのも好きだった。ま、ニューヨークへは持っていかなかった。現地でMcIntoshのパワーアンプを購入する方がいいかってことで。人生お初の200Wアンプ。PIONEER S-955との相性も良かったので記憶にしっかり残っている。1980年代からの30年間はオーディオの熟成時代だったとつくづく思う。

Dominic Miller Silent Light

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 静寂の光。癌による胸の痛みを和らげてくれる音は限りなく静寂に近い方がいい。 なのでどうしてもECMに手が伸びる。以前のJBLシステムではこのアルバムの最初から数曲を音質調整の中心として何回も聴いてきたが、今のFOSTEXシステムでは当然のことながらギターの厚みというかアドレナリンがドバッと出てる感に乏しいというか低域の下の方のインパクトが少ないとか不満ばかり感じていたような気がします。 で、JBLシステムで大音量(といっても自宅では中音量ですが)で迫力満点だったQUEENのサウンドを勇気をだして今のFOSTEXシステムでできるだけ前のシステムを彷彿とさせるバランスに追い込んでその設定をそのまま放置しておいた。 今晩そのバランスでドミニク・ミラーを聴いた。クールかつ冷静なECM空間が今のシステムでやっと再現できた。柚香さんも今晩は大人の世界になったと言ってくれました。 音に聴き入り、音に身を任せる瞬間は痛みを忘れます。明日は雨予報。どっぷりクラシックに耳を傾けて癌を一瞬でも忘れたい。

National Cancer Center Hospital

 柚香さんが懸命に国立がん研究センター中央病院(築地)の受付へ電話をかけまくってくれたおかげで、なんとか9月12日のセカンドオピニオンの受付ができたのはラッキーとしかいいようがありません。柚香さん、感謝!

Trinity MABUMI YAMAGUCHI

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 気になった1枚をアマゾンから取り寄せました。ピアノはこのセッションに不要だとすぐわかる深々とした演奏です。サックスの音が出た瞬間にこの人の演奏だってわかる。それだけで素晴らしい。マイルスもそうだし、コルトレーンも、ビル・エヴァンスも音が出た瞬間で全体を語る。シングルモルトをオンザロックで飲みながら聴きたい。その典型です。 TRINITY (三位一体)はそのままこの3人の一体感を表している。これにはピアノは不要。納得。

Kissa Ella & Louis in Bunkyo-ku.

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親友がMABUMIのオリジナル(トリオレコード)をまだ持っていることにじわっと来て、当時一緒に聴いた空間、時間を追体験した。そしてかつてのECMレーベルはトリオレコードから発売されていたことを思い出した。  そんな関係でもないだろうけれど、昨日、たまたまLPレコードで古いジャズを聴かせている喫茶に行った。Ella & Louis 文京区白山にある。ダイレクトドライブのレコードプレーヤーにオルトフォンだろうか赤いカートリッジが見える。手作りスピーカーは容積がたっぷりあってベースの低音がしっかりと出ている。若い女性が元々のオーナーから引き受けて営業しているとのこと。面白いのはレコードのA面が終わるとB面にひっくり返すことなくジャケットにしまう点。CD世代なのだろうか。B面があることを知らないのか、いろいろな演奏者を鳴らしたいからA面だけでしまうのか、いろいろ想像すると失礼なことをいいそうなので黙って聴いた。 しかし、LPの音はとてもしなやかである。針を盤面に乗せるあのボソッっていう音に続くパチパチ。これから演奏始まるよっていう儀式のようだ。なまなましい。親友宅のオリジナルLPもかつてのようになまなましく響いていることだろう。 もう昔のことなのに盤面を丁寧にクリーナーで掃除していた自分を思い出す。

18 years in the fridge.

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 柚香さんのお友達宅でパーティー。そのお友達の冷蔵庫に2005年もののオーストラリアワインが奥に放置されて18年。全く時間を感じさせない瑞々しさに唖然となる。 おいしい。はちみつ、桃、カラメルなどの香り。下手なワインセラーに保管するより白ワインは冷蔵庫に長期保管っていうほうがはるかに品質維持にふさわしいのではないか。ってしみじみ思った。

ANTON BRUCKNER SINFONIE NR.4 >>Romantische<<

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 ブルックナーの交響曲第4番はブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏を人生の最初に聴いた印象が相当に強く影響してなかなか他の演奏に馴染めなかったのですが、ベーム・ウィーンフィルとケンペ・ミュンヒェンフィルの演奏はかなり表現の方向が異なるとはいえ、とてもいい演奏だと思っています。 ウィーンフィルはまるでお手本的存在。方やミュンヒェンフィルはどちらかというとオーストリア風というか作曲者に近い温度感覚。濃い演奏です。だから両方聴かないといけませんね。

The music that made me switch from Tannoy to JBL.

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 2000年から2001年にかけて勤務先の会社が起こした事件対応で身も心も疲れ果て、挙げ句の果てにまさか自分のタンノイ中心のオーディオ世界が崩壊寸前状態になった。自分のことなのに気もそぞろで、この非常事態に真っ先に気がついたのは親友だった。 あるワインバーで親友が耳元でささやいた。「もうタンノイに拘らずいっそJBLにしてみませんか?」え!一生使う覚悟で購入したタンノイだったけれど、購入してから10年以上が経過していた。美味しいワインの香りがグラスの中で誘惑する。「やってみたら?」 2001年3月にプロ用フルレンジユニットと同じくプロ用ツィーターが我が家にやってきた。しかし、長年連れ添ったタンノイを手放すには1カ月以上を要したと思う。同じこのダンス曲集を方やタンノイで聴き、その印象を忘れないうちにJBLで聴く。それを何回も繰り返す。 自分でもしつこい性格だなって思った。そして違いをさんざん確かめた上でタンノイに別れを告げました。 ちょっと思い出して書くだけでなんだろうこの疲労感。やはり仕事は前向きが基本。後ろ向きの仕事はストレスだけが残る。そう思う。

Fauré REQUIEM MICHEL CORBOZ ORCHESTRE SYMPHONIQUE DE BERNE

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 フォーレのレクイエムはヴェルディやベルリオーズのような嵐に巻き込まれることはなく静かなレクイエムの代表です。この曲も演奏者によってかなり印象が変わります。いろいろと聴きましたがこのコルボ指揮 オルケストル・サンフォニーク・ドゥ・ベルンにとどめを指します。 ゆっくりと丁寧に譜面の音符を音に写し変えていく。そんな静寂感に時間を忘れます。

Can You Hear Me ? novella Renaissance

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 甘酸っぱい青春そのものの音がここにある。1976年録音。まだ私は20歳だった。大学入学の年。このアルバムも親友宅でオーディオ三昧だったある深夜に聴かせてもらった。痺れた。ルネッサンスのアルバムを何枚か。翌日は仕事だった。だが、曲の魅力に負けてなかなか帰れない。そういうもぞもぞした懐かしさがこのCan You Hear Me? にもたっぷりと溢れている。

New unit price for FOSTEX products.

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 FOSTEXのエンクロージャーが一部カタログから消えた。と、ブログに書いたら悪く思われたのかどうかわからないけれど、うれしい価格値下げの連絡がFOSTEXから届いた。 表のとおり、ちょっとFE206NV2を調達してみようか。同じエンクロージャーで使えるし。音の傾向も違っておもしろいかも。

Mabumi Yamaguchi

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 親友と出会った同じ1981年ニューヨークでの録音で、親友とのオーディオでは節目で必ず出て聴いているアルバム。とてもニューヨークの雰囲気がたっぷりと感じられる世界で、これは共演者を見ればなるほどねって納得ものです。ジャケットのデザインにも魅せられて、一度見たら忘れない。曲も一曲目から忘れない。テナーサックスがとても澄み切っているけれどドラムス、ベースやパーカッションのエネルギーに負けないパワーがある。 昨年、新作のCDが出ているとのことなので、入手したい。今回の作品はピアノがない。けれど、ないからいいっていうこともある。そんなアルバムらしい。

CHOPIN ETUDES MAURIZIO POLLINI

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 マウリツィオ・ポリーニ。好き嫌いがはっきりしやすいピアニストだと思います。言葉は悪いですが、イタリア版ホロヴィッツと個人的には捉えています。ショパンの強靭な音の世界。鍵盤のベートーヴェンの具体的実例がポリーニのように思います。 ですので、ホロヴィッツ大好きな私としてはポリーニも当然好きになるわけで、とくに若い頃の鍵盤をガンガン引っぱたき縦横無尽に鍵盤上で踊るようなこういうピアノの世界に魅せられています。 エチュードだけでなくポロネーズも聴いてます。ブラームスのピアノ協奏曲にもポリーニの演奏があったはずです。圧巻はバルトークのピアノ協奏曲第一番と第二番。これは曲の出だしからアドレナリン出まくりで、このような完璧な技巧かつスピードでオーケストラを巻き込んでうねるようなサウンドには拍手喝采したものです。