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4月, 2024の投稿を表示しています

Viola da Gamba or Cello

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 バッハの無伴奏チェロ組曲は若い頃、その出だしを聴いてみて、これは飽きる。って思った。若い頃は得るエネルギーも壮大なものの方がうれしいから、ソロの楽器が奏でる組曲にはそっぽを向いたんだと思う。 しかし、70歳が見えてくる年代になると、そして、がんという病に悩まされるとこの大人しい渋い音の連なりが曲として脳に染み込んでくる。いいって感じる。 曲の印象からしてバッハ大先生が晩年に作曲したものかと思っていたら、実はケーテン時代って、バッハ大先生が32歳からの数年の結構若い頃の作品と知ってびっくり。 もうひとつ書きたいこと。チェロのための組曲ではあるけれど、ヴィオラ・ダ・ガンバによる演奏CDを手にして楽器の違いによる曲の印象の違いに相当に驚いたということ。 ヴィオール族のヴィオラ・ダ・ガンバとヴァイオリン族のチェロは楽器を支える方法から、弦の数も違うし、フレットの有無もあるし、そもそも弓の持ち方も違う。 ヨー・ヨー・マの若い頃に録音したチェロ版を最近聴いていたんですが、フランスのミリアム・リニョルさんによるヴィオラ・ダ・ガンバ版の演奏を耳にして楽器の音にとても魅せられました。 同一の曲がまったく別の曲かと錯覚したんです。新鮮で、深い。 いずれにせよ大バッハは大先生である。これに尽きるんですが。 辛口シャルドネワインをたとえにしてすみませんが、チェロだとしっかり樽熟成したムルソーを感じるのに対してヴィオラ・ダ・ガンバだとMLFをしないキリッとした酸とミネラルを感じるシャブリ。ま、例えばの話ですが。 まだワイン飲めない時期なので、飲めるようになったら味わいながら聴き比べてみたい。かなり先かも知れませんがね。 ヴィオラ・ダ・ガンバ ヴィオラ・ダ・ガンバを演奏する女性 チェロを演奏する男性

Fred Hersch Silent, Listening

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 フレッド・ハーシュ アメリカのジャズピアノプレイヤー、作曲家。 親友と同じ1955年生まれ。 このECM的なとてもSilent Listening的なタイトルの通りの音の世界。なんといっても孤高としかいいようのない音。ジャンルを超えた、ジャズでもあり、現代クラシックでもあり。でも美しい。ECMからお初のソロアルバム。ジャケットがまた美しい。とってもECM。 調べて驚いた。フレッド・ハーシュはジャズトリオと弦楽四重奏とのコラボなんかもやってる。単なるジャズ演奏者ではない。 親友もきっと「いいね!」っていいそう。 ちょっと深掘りしてみたい。

Last Days Ryūichi Sakamoto

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 2024年4月7日放送NHKスペシャルLast Days 坂本龍一 最期の日々。この番組はショックだった。ご家族もよくこの生々しい映像の公開を許可してくれたと思いました。最後の最後まで音楽にこだわる姿。それに感動。自分もがん患者になってやっと見えてきた部分も多い。 自宅ハイレゾから「千のナイフ」(2016年リマスター版)を聴いています。鋭い、エネルギーに満ちた若さ、音楽が生々しいです。

Reconsidering frequency balance in my main audio system.

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 たまにはオーディオのことも書かないと。笑 自宅のメインシステムは20cmフルレンジに効能率ホーンツィーター2台っていう高域過多のシステムです。どうしても高域が目立ちすぎる傾向です。 そこでこういう変態的システムのバランスを取るにはスピーカーマネジメントっていう名前は仰々しいユニット(市販価格5万円程度)が大活躍しています。このユニットにはゲインコントロールだけでなくクロスオーバー周波数調整、パラメトリックイコライザーやディレイも搭載されており、従来はイコライザー機能のみを使っておりましたが付属している機能は使わないと損だっていうことで設定画面を出して変えては聴き、また変えては聴きを繰り返しています。ディレイ機能はなんとなくですが、スピーカーから3mのリスニングポジションでは使い方次第ですが、違和感が減少するポイントも発見できています。 これらの調整ポイントはデジタル時代の恩恵であり、アナログ全盛時代には調整したいと思っても手段がなかった類の項目です。親友もかつてより述べてますが、機材そのものからはフラットバランスで音が出ていると仮定しても、部屋の特性(広さ、高さ、奥行き、反響具合、機材を置く場所、左右の距離、壁からの距離、床からの反射などなど)によって周波数特性はぐにゃぐにゃになってるのは間違いありませんので、いろいろいじっては聴いてを繰り返し、自分と居心地の良い音楽の関係を時間をかけて築いていくしかないんだと思っております。

Returning to the origins of his sound.

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 親友がこの世を去ってもう半年。同時に寂しさが半年継続しているのも事実です。 SoundFrailに、「わたしにとって理想の音は、雑味のない無垢で清潔な透明感、濃密な色彩感がありながら暑苦しくなく、サラッとした爽快感がある響きだ。」(2021年3月13日)との記述を見つけました。 最晩年の彼が使用していたYAMAHAの機材群はまさにこの表現に通じていると個人的に感じています。最晩年に限らず、彼の最愛のスピーカーJBLの4343を駆使する方法にさえ、この哲学が貫かれていると思っています。 さらに40年以上前に遡ると、まだGEQやPEQなどを使い音響調整に本腰を入れる直前にはMarkLevinson SL6 左右完全セパレートで電源部まで別というそれこそ入力とボリウム以外何も付いていないシンプルなシルバーパネルのプリアンプが彼の哲学の原点という気がしています。内部の配線のみならず、銀のケーブルがもたらす誘惑に満ち溢れた濃密なようで清潔な透明感あふれるサウンドにもその後の手本となったことが手に取れる、そういう機材でした。 おそらく、お互いの好みの響きの傾向、気になる周波数や濁りなどがことごとく私も似ていたのが功を奏してこの長い付き合いに至ったのは間違いないですが、違う部分、ことごとく気に入るまで追い詰める根気強さは私にはなく、お互い微妙に違うからこそ長くいい関係を保つことに繋がったのかも。って思います。 もう一緒にお互いのこれからのオーディオを語りあうことがなく、過去にひたるしかない寂しさはかなり辛いものがあります。

Once you get used to listen to it.

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 2018年頃からハイレゾのデータをダウンロードしてUSBのDACを通して楽しむ方法を始めています。最初はiFi社のエントリークラスのDACからスタートして、いまは同一会社の高級品を使うまでに至りました。 昨年10月、抗がん治療で3回の入退院を繰り返した際、ハイレゾを入院先でも楽しみたいっていうことでiFi社のDAC付きポータブルアンプ(イヤホン再生用)を買って使ってみました。 イヤホンだからでしょうか、DACもかなり満足度が高くなっていてこれで充分かも。って。 2月上旬に退院してもう2ヶ月ほど。そのポータブルDACを思い出してメイン装置のDACと交代して我が家のオーディオ装置に使ってみてちょっと驚いています。 いいんじゃない?慣れてしまえばどっちで鳴らしているかわかんないよね? 1ヶ月はこの設定にして存分に耳を慣らして、またDACを交代したときにどう感じるか。 怖い答えは:どっちも音は変わらないよね!

Les gens ne regardent pas les blogs qu'ils écrivent. Est-ce vrai ou pas ?

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People don't look at the blogs they write. Is this true or not? 自分が書いたブログはみんな見ないってほんと? 個人的に、自分のブログはお粗末って考えていて、それを記録として残そうなんて考えたことはないんです。新しくサイトを作ってスタートしたら前のブログサイトは消そうとしますが、消せない場合もあり、そういう場合は無視してます。書いたら書いたとたんにその内容はとりあえず終わり。自分に自信がないからそうなるんですけど。自分が書いたブログ読み返して、いいなっていうのはまずないですね。他の方々のブログは読み返すことがおおいですが、どうしてでしょうかね。 音楽や芸術はさすがにプロが残した作品には何回もリピートして接しますね。味があるんで、毎回異なる印象を受けます。 ひさびさに聴くキース・ジャレットのスタンダーズ。1と2。こんなに印象違ったんですね。また何回も聴きかえすことになりそうです。

L'œuvre de Rameau, oubliée depuis environ 200 ans.

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 フランスバロックの偉大な作曲家ジャン・フィリップ・ラモー(1683-1764)さんです。え、知らん。ですよね。の晩年の大作オペラ「レ・ボレアード」。 作曲時の不幸というか。ど・えらい作品であるにもかかわらず、初演がキャンセルされ、劇場も火災にあい、ラモーさんも翌年に逝去。図書館に楽譜が200年ちょっと保存され忘れ去られてたとか。 約200年後の1964年にコンサート形式でラモー没後200年記念で放送されるまで眠ってたんですね。 内容はギリシア神話をもとに、ある女王が身分違いの恋を初志貫徹して最後に勝ち取るおはなし。 曲的にはもうバロックを過ぎて古典派の時代の作品で、オーケストラの編成も時代にそぐわず大きくて、聴いてびっくりの劇的な表現なんですね。 ジャケットも美しいというか、これはジャケ買いしたんですが、ハイレゾDACを通して聴くともうCDクオリティで十分じゃないかって思うんですね。 フランスを中心にしたバロック作品はこのシャトー・ド・ヴェルサイユ レーベルは演奏のクオリティ、録音のクオリティ両方で満足できるレベルであると勝手に思っております。