Viola da Gamba or Cello
バッハの無伴奏チェロ組曲は若い頃、その出だしを聴いてみて、これは飽きる。って思った。若い頃は得るエネルギーも壮大なものの方がうれしいから、ソロの楽器が奏でる組曲にはそっぽを向いたんだと思う。
しかし、70歳が見えてくる年代になると、そして、がんという病に悩まされるとこの大人しい渋い音の連なりが曲として脳に染み込んでくる。いいって感じる。
曲の印象からしてバッハ大先生が晩年に作曲したものかと思っていたら、実はケーテン時代って、バッハ大先生が32歳からの数年の結構若い頃の作品と知ってびっくり。
もうひとつ書きたいこと。チェロのための組曲ではあるけれど、ヴィオラ・ダ・ガンバによる演奏CDを手にして楽器の違いによる曲の印象の違いに相当に驚いたということ。
ヴィオール族のヴィオラ・ダ・ガンバとヴァイオリン族のチェロは楽器を支える方法から、弦の数も違うし、フレットの有無もあるし、そもそも弓の持ち方も違う。
ヨー・ヨー・マの若い頃に録音したチェロ版を最近聴いていたんですが、フランスのミリアム・リニョルさんによるヴィオラ・ダ・ガンバ版の演奏を耳にして楽器の音にとても魅せられました。
同一の曲がまったく別の曲かと錯覚したんです。新鮮で、深い。
いずれにせよ大バッハは大先生である。これに尽きるんですが。
辛口シャルドネワインをたとえにしてすみませんが、チェロだとしっかり樽熟成したムルソーを感じるのに対してヴィオラ・ダ・ガンバだとMLFをしないキリッとした酸とミネラルを感じるシャブリ。ま、例えばの話ですが。
まだワイン飲めない時期なので、飲めるようになったら味わいながら聴き比べてみたい。かなり先かも知れませんがね。
コメント
コメントを投稿