1985年、Private Musicレーベルから発売されたパトリック・オハーンのAncient Dreamsは当時英国Rogers LS3/5A を東京の実家で、ニューヨークから持って帰ったMcIntosh C33, MC2255の組み合わせで何回も聴いた。LS3/5Aはインピーダンス15Ωで、McIntoshのアンプですら適度にダンピングファクターがかかって歯切れの良い渋さでけっこう好きな音だった。パトリック・オハーンはある意味オーディオのリファレンスでもあった。1987年のBetween Two Worldの頃はESPRIT APM-4で聴いていたし、2001年フランス・ボルドーから帰国したときにはEldoradoをTannoy Canterbury 15、アンプはATMの真空管パワーアンプ、CDプレーヤはSTUDER A-730だった。よく覚えている。フランス滞在中はいいオーディオから離れていたし、乾いた喉を潤す自宅のタンノイシステムが心に癒しを与えてくれた。1995年のTRUSTを最後にパトリック・オハーンからだんだん疎遠になったのはオハーンの作風の変化だと思う。JBL E130を中心に聴いていたころもほぼ疎遠状態。 2023年のいま、marantz + M's system speaker で懐かしいパトリック・オハーンを聴く。新たにMETAPHOR, beautiful world そして TRANSITIONSのCDを揃えた。 パトリック・オハーンは1954年生まれだとネットで見た。69歳か。どんどん時は過ぎる。 エネルギッシュに活動できた1980年代から1990年代は歳をとるって自分も何もわかっていなかった。心の内側は30歳前後のままでオーディオにがっぷり向き合っていた。 あと、10年。65歳を超えたあたりからオーディオと付き合える時間を常にあと10年と言い続けてきたけれど、たった2年経過して67の齢を重ねるとあと5年位はいまの体力でオーディオに向き合うことができるかと少し弱気にもなる。本音である。