Complex speaker network circuits or single capacitor.

 自分の理想の音をスピーカーから鳴らすために使うのはフルレンジユニットでなく、2ウェイ〜4ウェイの場合には、ネットワークっていう複雑な回路が絶対に必要になる。

私もオーディオのスタートから2ウェイ以上のスピーカーを使用していたので、ネットワーク回路なんて入ってることすら分かってないど素人だったし、ネットワークは不可欠なパーツなんて考える必要もなかった。プロ用JBLを使い出すまでは。親友の強力なおすすめもあって「そろそろJBLのプロ用にしたらどうです?」「一生に一回でいいですから、やってみて、ちゃんといい音なりますから。」JBL130&JBL2405っていう単体のスピーカーを前にして、複雑なネットワーク必要なんだろうか?と、すかさず、「必要ないですよ。コンデンサー1個、片チャンにあれば、ちゃんとぶりぶり鳴りますから。」って。そしてそのとおりになった。得られた森の湧き水みたいな澄んで見える音像風景にハッとしてフルレンジ+コンデンサーの洗礼を受けたのでした。2001年のことでした。

でも、親友はこういうシンプルな鳴らし方だけでは全く納得がいかなかったようで、私のところに来て、いろいろスピーカーの前を前後左右に歩き回って(とうぜん音楽は流れているんですが)「ネットワークは必要悪だとか、ない方がいいとか、いや、必要だとか、ぶつぶつ言い出して、「この音。いや〜、参ったなぁ!」と言って帰っていく。そして自分の装置で複雑なネットワークを調整して鮮度感を出したかったのであろうか、格闘していたのである。

親友にとって、彼が私に伝授したシンプルな私のところの鳴らし方とJBL4343に代表される超複雑ネットワークを十字架のように背負ったシステムとのどちらに軸足を置いていたのだろうか。いま、また抗がん剤治療で入院している私は時間がたっぷりあるので彼のブログを関連づけてあちこち読み返している。

私はオーディオやってるというより音楽のために必要なことだけを、親友のシンプルなやり方を手本にしてやっているけれど、彼はいろいろな方法を試すことに、あまりにも多岐にわたることをやってのけることにオーディオの真髄を見出したのだ。だから彼の部屋にはいろいろなタイプの機材が絶対に必要だしスピーカーでも小口径から大口径、最新型からビンテージ型。さらには巨大コンサート用のごついプロ製品、プレーンバッフルの大型スピーカーまであるとあらゆるジャンルの製品のなかで必要に応じて選択して使用していたのだ。

自分にとっての理想の音そのものを追い求めることが目的なくても、手段というかアプローチの種類を多く携えて変化を楽しむっていう趣味もいいものだと思えるようになった。

ちょうど、私にとってのデジカメがそれと同じでソニーに飽きるとニコンにしてまた変化を求めて富士フイルムにしたり。ボディが変わればレンズも変わる。覗くレンズが異なれば目に入る映像も違ってくる。

もっともっとオーディオだけでなくカメラやワインで親友と語り合いたかった。

今回の治療を終えて明日、退院すると、タワレコからいろいろCDが届くはず。これらは親友とお互いの装置で聴き馴染んだ名演奏たちである。我が家のいまの音を聴きに親友は必ず部屋にやってくるだろう。「へぇ〜、なかなかやるじゃないですか。もうちょっと左右のスピーカー間隔あけません?」とかいいながら。

(キャパシター=コンデンサーの写真は親友のブログから拝借しました。)






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