My Best Friend's Legacy: Blogs and Equipments

写真は親友のものを借用しました。

 親友の逝去。心の拠り所のなさと不安。

今、彼が残したブログをあてもなく読み返している。多方面に書いている彼ではあるが、オーディオ論旨の柱はJBL(Professional)、より正確に焦点を絞るとJBL #4343に集約される。

彼のリビングにいま取り残されたJBL #4343はもっとも普遍的な彼のJBLを鳴らす基本中の基本の音であると言い切れる。

彼は何度もJBL#4343をfemme fatale(赤い糸で結ばれた運命の女性:男を破滅させる魔性の女性)と表現している。彼が若い頃、オーディオで深刻な挫折を体験したその相手が#4343であり、使いこなせなかった、ちゃんと鳴らすことができなかったと繰り返し告白し、嘆いている。その意味では「魔性の女性」的存在であった。しかし、いまの#4343は散々苦労してきた中で最後に出会った赤い糸で結ばれた運命の#4343だと私には思われる。おそらく彼の部屋の配線を見れば、今なおJBL#4343はすぐに音を出せる状態であろうことは容易に想像されるのだ。

私が親友と出会った1981年、彼の部屋にはもうすでに#4343はなく、彼も積極的にこのスピーカーについて語ることはなかった。私が知るプロ用JBLが彼の部屋に再び登場するのは#4344という後継機種であった。これもまた容易な存在ではなかったのだが。この#4344と格闘する姿を見て、感じたのは、やり残した思いの強い#4343についてのこだわりだった。

つまり、彼のオーディオはJBL#4343がブレない軸として常に存在していたこと。それに加えて彼が習得した技法を、さまざまなタイプのスピーカーを通して、理想の#4343音像に近づけ、再現すること。だからスピーカーだけでなく、アンプ、イコライザー類の多種多様な機材は必須のものだった。

冥福を祈る。

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