Subject-object reversal occurs unexpectedly.
親友と出会った1981年、しみじみ思いました。納得のいくいい音で好きな音楽を聴くという目的ためには使っているオーディオ機材の質はとても重要であり、高級機種に買い替えていく、つまり質的な上昇が必須であると。当時、ロック音楽向きのスピーカーで無理してクラシック音楽を聴くという苦痛を、親友がより品質の良いスピーカーに変更し、質を上げるという方法で解決してくれました。
それで、満足したはずでした。しかし、物欲って恐ろしい。スピーカーをグレードアップすると、アンプに不満がでる。アンプもより高級セパレートアンプへと物欲がでる。まずパワーアンプを導入し、プリメインアンプのプリ部分を活かしてスピーカーに見合う品格の音になった。
で、物欲はさらに、よりよいプリアンプが欲しい、となる。そして、レコードプレーヤーのグレードアップを考える。この無限ループが限りなく続いていき、物欲を満たしつつ、高額のハイエンドオーディオ機材を揃えることこそが究極の目的にすり替わるんです。そしてそれにまったく自分で気が付かない。こうして定年退職の年齢までやってきて、収入が激減してやっとこの本末転倒に気が付くっていうわけです。
すでに一緒にこの階段を登ってきた親友もあの世へと去り、ひとりでオーディオに向き合う寂しさに変わり、音楽そのものを聴かない日々が増えてきています。
イコライジングで部屋や機材、さらに音源そのものの癖を自分の耳に合わせて調整し、感動を得られる音質にする術は親友のおかげで身につきましたので、貯めてきた音源(CD、SACD、ネットのハイレゾ)をあれこれ気ままに小音量から中音量で聴き続ける。なにかの機材が壊れたら怖いですが。ちょっとした緊張感を持ちつつ、これがこれからのオーディオとの接し方になるんでしょうね。きっと。
コメント
コメントを投稿